過去、今、未来

  唐突ではあるが、この世界は色々なところで繋がっていると思う。人と人との繋がりでは最もそれを感じると思う。

  1個上の先輩方が引退した。正直まだ実感がある訳では無い。だからそこまで泣かなかった。しかしきっと、1人減った教室。1人分減った聞こえてくる音。9人減った集合。色々なところで気づくだろう。どれほどあの先輩達の存在が大きかったか。

  色々な事を教わった。揉めたりもした。でも、楽しかったなと思う。そして少々の幹部業をする中で、大変だったんだな……とも思う。しっかりと支えられたかと問われればとてもイエスとは言えないと思う。出来なかったことはある。それでも後悔はしていない。引退することはずっと分かっていたことだ。引退は順番にくるものだ。常にではないにしろ、これが最後だと思いながら過ごしていた。

  部活とは、 引退し、その後で新入生が入り、1年を過ごし、引退する。それの繰り返しである。

  今先輩達がいた部活が過去に変わりつつある。そして私達が運営する今になろうとしている。そして、私達が引退し、後輩達が運営する未来が始まる。

  そうやって紡いでいくものだ。少しずつ少しずつ吹奏楽部の歴史を重ねていくのだ。

  引退とは1つの区切りだと私は考えている。吹部との縁が無くなるわけでは決してない。むしろ、「現役」とは別の繋がりが出来るのだろう。先輩達の吹部がなくなってしまったように感じるが、決してそうではない。ありきたりな表現ではあるが、先輩達の吹奏楽部は現役の私達の中にある。それは大切にしなければいけない。

   でも、それよりももっと大切にしなければいけないのは自分にとって吹部だ。

  自分が楽しい!やりたい!そんな思いを集めていけばきっといい部活になる。そう私は思っている。

  先輩とはその参考資料のようなものだ。これは良かった!私の代の参考にしよう。これは直さないとなー。そんなことを思いながら日々を過ごしていた。少しでも多く吸収出来るように。

   たった1年。されど1年。先輩は多く上に立っている。たったそれだけで偉大なものだと思う。多くを見て、多くを学び、多くを考えた1年だった。

  先輩から見れば生意気な後輩だったと思う。

  だけど、本当に尊敬していた。

  多くを吸収出来たと思う。

 

  次は私達が繋げて行く番だ。

 

  私達が過去になる前にいかに未来に残すか。

  いいものを残していく。絶対に。

  過去、現在、未来の順で言われることが多いが、今の「未来」が「現在」になりやがて「過去」になるのだ。物事は全て未来から来てら今にたどり着き、やがて過去になる。

  未来の私達が笑って悔いなく引退できるように、未来の後輩が引退を悲しがってくれるように、今私達は先輩達から色々なものを引き継ぎ進んでいく。

  これはゴールのないリレーだ。

  私達が進む限り、何周でもできる。

  止まってもいい。迷ってもいい。それを次に繋げさえすれば。迷いながら書いた地図も、止まりながら書いた地図も、全力で走りながら書いた地図も同じ地図であることに変わりはないのだから。

  それをもとに次の走者達は走るのだ。           奏でるのだ。

  過去から今へ。そして未来へ繋がれるバトン。皆で聖火の如く繋いでいきたい。